【福祉から雇用応援事業】 就労支援機関見学会「京都障害者職業センター“職業評価体験”」レポート

【福祉から雇用応援事業】 就労支援機関見学会「京都障害者職業センター“職業評価体験”」レポート

11月15日(火)、就労支援機関見学会を京都障害者職業センターにて実施しました。

当日は14事業所16名のA・B型職員の皆さんが参加され、うち10名の方は職業センターの支援利用が全くなく、初訪問でした。

今回の見学会では、職センの仕組みや支援内容を学ぶだけでなく、実際に職業評価の一部を受けたり、準備支援の現場を見たりする体験的なプログラムでした。 今後、事業所での就労支援の際、“職センの利用”について少しはイメージして頂けたのではないかと思っています。

参考までに、これまで「福祉から雇用」で職センの職業評価をどのように活用してきたのかをお伝えします。

京都障害者職業センター見学会を終えて
「福祉から雇用」と「職業評価」

 「福祉から雇用」では、様々な障害、各々の年齢・生活歴の異なる方々の個別ケースの就労支援を、事業所の就労担当の皆さんと共に実施しています。多くのケース支援のなかで障害者職業センターの「職業評価」を、どのように活用しているのかをお話しさせて頂きます。

「職業評価」という言葉の響きから、どのような仕事が適しているのかを判断する“適職診断”であると受けとめられがちですが、見学会講義の冒頭でお話しされたように、職業評価イコール適職診断ではありません。

それでは「職業評価」をどのように考えればよいのでしょうか。

これまでの経験から、『職業評価は、今の自分自身の状態をよく知るためのツール』であると考えています。ここでいう“自分自身”とは、障害のある人自身と支援者自身の両者を意味しています。 就職活動で自己分析・自己理解が基本だといわれていますが、このことは障害のある方たちにとっては最も苦手であり、難しいことです。そのための手助けをするのが、障害者事業所であり、支援者である職員の皆さんの役割でもあります。

しかし、毎日、しかも長期にわたる支援を継続しているうちにその方についての見方を固定化してしまいがちです。 就職を目標にしたとき、あらためて第三者の目によって、客観的に評価・分析をしてもらうことは大変意味があり、また必要なことです。

障害者職業センターの職業評価結果は<身体、精神、社会、職業>の四つの側面から、就労を前提とした『強みと弱み』が示されます。この強みと弱みを本人・支援者共に知りあうことで、「強み」は積極的なアピールポイントとして、「弱み」は改善・強化ポイントとして、事業所内での訓練課題が明らかにできます。

障害のある本人、支援者ともに、今の自分の状態に目を向けることを意識して「職業評価」受けると、就職活動における有意義なツールとして大変有効です。

ケース1

身体障害:高次脳機能障害の方への職業評価  四つの側面すべてで、高次脳機能障害によって起こっている自分自身の状態=弱みが認識でき、障害受容が深まった。そのことにより、事業所での訓練、アドバイスを受け入れる姿勢ができた。A型事業所へのステップアップを目標にした。

ケース2

精神障害:自己評価が極めて低い方への職業評価  <社会、職業>の側面で、自分の課題と思っていた点が高評価であったことから、自己肯定感が強まり、自信が持てるようになった。そのことにより、求職の際の職種・仕事内容への拘りが減り、自分の可能性を広げることができた。

ケース3

知的障害:「なんでもできる」と思われていた方への職業評価  職業評価を実施して極端に苦手な作業があることが判明。苦手な仕事を回避し、得意な ことを生かすための職業選びに役立てることができた。また雇用企業に苦手なことを  理解し、配慮をして頂くための資料作りの参考にした。