オリーブホットハウス

農業をすることで、
いろんなつながりが見えてくる

名神高速・京都東インターから車で数分。オリーブ農園は、京都市山科区の静かな住宅街の一角にあります。正面に牛尾山を臨む、日当たりの良い静かな農園で、メンバー、職員、ご近所の方々が一緒に農作業に励んでいます。

 

ハウスの中の棚に切ったダイコンを広げる。3日~1週間、天日干しして完成

「余っているものを使おう」から始まった

住宅街の細い道を抜けると、突然目の前に段々畑が広がります。青々と葉を広げるダイコンやミズナ、点々と等間隔に並ぶ紫や黄緑のチシャナ、畝に撒かれたもみ殻の中から細い葉を伸ばすタマネギ。冬ならではの畑の風景に、ほっと心が和みます。オリーブ農園の始まりは、今から10年ほど前。当施設前理事長の家に使われていない農業用設備や資材が余っていたので、畑仕事をやってみたのがきっかけでした。専業農家であった前理事長のお母様の指導のもと、野菜作りがスタート。今では露地栽培で季節の野菜や米、ハーブなどを育てて収穫し、加工、販売するまでになりました。

収穫した野菜は地産地消

「ビニールハウスはご近所の方が建ててくださるので、冬場はその中で切り干し大根を作っています」と話すのは施設長の勇川昌史さん(以下、「 」内は勇川氏談)。ハウス内は切り干し大根のいい香り! 天日干しされた細切りダイコンが、棚いっぱいに白く輝いています。「ハウスの建っている場所は秋まではサツマイモ畑になっていて、焼きイモや干しイモにして販売したり、近くの保育園の子どもたちやよつ葉の会員さんと一緒に芋掘りで交流しています」。

採れたての野菜や切り干し大根、古漬けなど園内のワゴンで直売空き家の作業場で収穫したダイコンを洗い、スライスする

 

農園には毎日のように地域の方々がボランティアで来園。メンバーと一緒に畑仕事をしたり、敷地内にある空き家で野菜の加工や調理の手伝いをしてくださっています。収穫した野菜は園内や施設で直売するほか、近くの飲食店やグループホーム、子ども食堂などにも配達。配食サービスや喫茶スペースのおにぎりやお弁当にも利用しているそうです。

生活を豊かにする農業のチカラ

畑では、水まき、種まき、耕作、草抜き、収穫といろいろな作業が仕事になるので、内職仕事が苦手な人にも幅広く従事してもらえます。「メンバーは、仕事の効率性を問われるとしんどいと感じることもありますが、ここでは効率性よりも丁寧にすることが大切。自分の得意なことに取り組めるという意味では、農業は懐が深いなと思います」。

商品にならなければ、給食に使ったり、自分たちで食べることができる、というのも農業のいいところ。

さらに、農作業をするメンバーさんたちにも良い変化が。
「引きこもりだった方が、畑仕事をすることで、表に出られるようになる。日中、体を動かすことで夜も良く眠れ、ご飯が食べられるようになり、本来の生活リズムを取り戻せる。花が好きで、いずれ花の仕事をしたいと言うメンバーが、花苗をポットに植えて育てている。この場合は将来的にしたいことと、今やっていることが直結している例で、社会復帰、社会参加の足掛かりになります」。

自分たちで作った給食を食べる。一つの食卓をみんなで囲む。今まで家ではできていなかった、そのことの大切さに気づき、あらためて家族で食卓を囲むようになった人もいるそうです。

「畑を始めたからということだけではなく、それに付随するいろんな要素があって、それぞれの生活が広がり、豊かになる。それはメンバーさんだけではなく、自分たち職員やボランティアさんも同じで、それが、畑、農業のチカラなんだろうなと思います」。

 
オリーブホットハウス施設長 勇川昌史さん紅はるかの天日干し

農業が人をつなぎ、福祉とつながる

「農業をすることによって、目の前にある食べ物は、誰かが作ってくれている、誰かが料理してくれている、ということがつながって見える。そして、すべてのものがそうである、ということに気づけるんですね。」

「精神障害をお持ちの方は、どちらかというと社会から疎外されたり、排除されたりしているように感じやすい。それが、誰かとちゃんとつながっている、という意識を持つことで生きていけるし、生きる力になる。そんなことが目に見えてわかる仕組みが農業なんだと。工賃向上だけではない価値がすごくあると思います」。

オリーブハウスでは、地域の中で余っているものを使っていこうと始めたことが、結果的に『農福連携』という形になって広がってきました。

「地域に必要とされているものが実は地域にあるが、知らないし見えないから別のところから購入したり、遠い所から人を呼んだりしている。それをつなげる活動を積極的にしていきたいです」。

「余った野菜、例えば大根の間引き菜を子ども食堂に持っていく。それが子どもたちの食べるお浸しになる。こちらは余っている、あちらは足らない。そういうところがつながっていくだけでも、その地域は十分に豊か。農業をすることで、地域の中で循環できる仕組みを作っていきたい。地域に必要とされる仕組みがあって、障害者が地域で当たり前に働ける。そういう形を作っていくことが『農福連携』だと思います」。

ダイコンやミズナ、ネギなどの冬野菜が育つ畑地域の方が農作業の手伝いや野菜を買いに来られる。農園は最寄りのバス停からも徒歩1分と便利な場所にある

施設案内

社会福祉法人オリーブの会 就労継続支援B型事業所 オリーブホットハウス
〒607-8142 京都市山科区東野中井ノ上町3-33
TEL:075-591-4669/FAX:075-591-4679
URL: http://olive-net.info/