JointJoy(ジョイントジョイ)

農業はまったくの素人。
手探り状態で現在進行中

八幡市にある事業所から車で約15分。隣接する京都市伏見区淀・久御山地区にある畑まで通って作業しています。農作業に関わる人も時間も少ないけれど、収穫した野菜はお弁当の惣菜やお菓子にフル活用。農業を通して地域の人たちとのつながりも広がっています。

 

大きな白菜は二人がかりで収穫

「使う食材を自分で栽培できたら」という思いから

「『食』を通して地域を元気に。手作りのぬくもりにおいしい笑顔をのせて」をモットーに、おむすびやお弁当、焼菓子を製作、販売するJoint Joy。八幡市・男山団地の近くにある「おこめ工房」には、昆布、梅、京あげ、きのこ、おかかチーズ、からあげなど、バラエティー豊かな具がのった丸いおむすびが並びます。ここでは、日替わり惣菜弁当も作っており、予約のお客様に販売するほか、エリア限定で配達もしています。また、数軒隣のお菓子の店「楽茶(らくちゃ)」では、ケーキやクッキー、ガレットなどの焼菓子を作り、販売しています。

「食べるものを作っているから、食材は顔の見える人から仕入れたい」と話すJoint Joy代表の山本陽子さん。おむすびには、五つ星お米マイスター厳選米を、お弁当のご飯にはお米番付・最優秀賞受賞の米農家さんの米を使うなど、山城地域の人柄と顔の見える安心安全な米を使用しています。山本さんには「ずっとケーキ屋をしていたので、ケーキに使う果物を自分で作れたらいいな」という思いがあったそうです。

いろいろな具がのったおむすびと、ケーキやクッキーなどの焼き菓子が並ぶ店内おむすびは、器にご飯を入れてコロコロと回して作る

農家のおじさんに、頼りっぱなし

「花作りが好き。土も好きだから、農業もやりたいなとずっと思っていた」と言う山本さん。でも農業に関しては、まったくの素人。とりあえず、何か始めないと…と、「畑をちょっと貸してもらえる農家さん」を探し始めます。ところが、八幡市内には後継ぎのいる農家が多く、休耕地が見つかりません。ちょうどそのとき、事業所を直してくれた工務店さんが、淀・久御山地区の農家さんを紹介してくれました。貸主の農家のおじさんに教えてもらいながら、農業のまねごとを始めたのが2年前。作った野菜は、お弁当やお菓子に大活躍。たくさんできたイチゴはジャムにして焼菓子に、ホウレンソウやトマトはペーストにしてカステラに。カステラは、小さいお子さんをお持ちのお母さんがよく買ってくれるそうです。

畑2年目の昨年は、「やり方はおじさんに電話で聞いて、我流で。他所の畑を見たりして。そうして自分でやらないと、上手くならないんやって。おじさんのスパルタ教育」と笑う山本さん。大豊作だったナスは、「小さいころ食べていた味がする」と毎日のように買ってくれるお客様も。カボチャの成長時期に間違ってツルを折ってしまい、小さいものが数個採れただけ…ということもあったそうです。

畑で採れた野菜は、お弁当のお惣菜に使われることも広々と畑が広がる久御山地区。農家さんの畑の一部を借りている

畑で新しい出会いも

畑へは車で、スタッフ1人が2~3名の利用者さんを連れて出かけます。道が混むと20分以上かかるときもあるとか。午前中はお弁当の配達があるので、作業できるのは午後の2~3時間のみ。収穫だけでとんぼ返りのときも。そんな毎日なので、「今年はもう、手は出さないぞ」と言っていた農家のおじさんが、見るに見かねて手伝ってくれるそうです。

畑で新たな出会いもあります。隣の畑で作業している農家さんと挨拶をかわすようになり、話をするうちに新規就農者であることがわかります。トマトをたくさん作っておられ、売り物にならないトマトをいただいたのでゼリーに加工して販売。今後は、そのお隣の農家さんにも協力してもらうべく、相談していく予定です。

キャベツやホウレンソウが育つ畑収穫したホウレンソウ

夢は「おむすび・弁当」「お菓子」「農業」を3本柱に

畑作業は希望する利用者さんに行ってもらいますが、こちらから出向くことを促す場合もあるそうです。「畑は精神障害の人にはとてもいい。落ち着かはるし、行くのいややと言うてても、行ったら一生懸命やってはるし。帰ってきたらいい顔してはる。やっぱり、土やね。不安定な状況も、ピタッと止まるし」。借りている畑は小さいけれど、周りは見渡す限り畑の広がる、開放的な場所。土のチカラは大きいようです。

「本当は果物も作りたい。ハウスで栽培できれば、もっとたくさん採れるし、車椅子の人も作業できる。ハウスを貸してくれる人はいるけれど、やれる人がいないのでまだできない。農業にスタッフを一人あてられれば…」と話す山本さん。今はまだ、収穫できたときに「今日は採れた野菜です」とお弁当に表記しているだけですが、お弁当に必要なものに合わせて栽培計画を立て、野菜を作っていくのが理想。「農業を始めるには、まず協力者。人と知識が必要。とにかく、コツコツとやっていくだけですね。今は、おむすびとお弁当、そしてお菓子の2本柱をきっちりと。それから農業も。この3つを3本柱にしたい。将来的には、住まいと畑が一緒にあるところ、グループホームやケアハウスと畑をやりたい」と、農業を通して夢は広がります。

施設案内

特定非営利活動法人 JointJoy(ジョイントジョイ)
〒614-8376 京都府八幡市男山竹園2-1 A03-110
TEL:075-981-2111
URL: https://www.jointjoy.jp/