しぜん塾やぎ農園

ヤギと鶏と野菜作りで農業を学び、一歩前進

里山の自然あふれる京都府南丹市園部町で、有機無農薬・循環型の農業に取り組んでいます。提携先の農園では、ヤギやニワトリを飼育。野菜のカットや菓子作りのほか、ヤギ乳製品の加工や卵磨きなど、幅広い仕事に取り組んでいます。

 

「るり渓高原やぎ牧場」のイベントで、「しぜん塾やぎ農園」の紹介をする    新原さん(左)

「るり渓やぎ農園」と連携し、農業を学ぶ

「しぜん塾やぎ農園」は、医療、福祉、介護と幅広く事業展開する株式会社アットホームの、障害者就労継続支援B型事業所として2013年に設立されました。「アットホーム」は「障害や病気があっても、家族のように助け合って生きていこう」という想いから、2001年に設立。訪問看護・介護、デイサービス、居宅介護支援事業などを行っています。同時に、るり渓の開墾地でヤギを飼い、野菜や米を作る有限会社るり渓やぎ農園も開園。循環型の農業を実践しています。

「しぜん塾やぎ農園」の事業所は、JR園部駅から南西へ約2㎞のところにあります。毎朝、事業所から車で約20分の「るり渓やぎ農園」の畑に出かけ、事業所と農園のスタッフと一緒に、農作業。畑の畝作りや草取り、収穫した野菜を規格に分けたり、袋詰めをしたりしています。事業所内の食品加工場では、野菜のカット、ヤギミルクプリンや黒豆味噌、紫芋のケーキ、黒豆やヨモギの蒸しパンなど、ヤギ乳製品やお菓子の加工を行っています。

籾種をまいた苗箱が並ぶビニールハウス「るり渓高原やぎ牧場」では昨年、お披露目のイベントを開催

製品は法人内の施設や地域で活用

製造・加工したものは主に、道の駅「京丹波 味夢(あじむ)の里」で販売。毎月地域で開催される軽トラ市や不定期のイベントにも出店しています。カット野菜は、法人内の老人入居施設、グループホームの食材として使われるほか、お弁当の材料として使用。お弁当は近くの聖カタリナ高校へ、利用者さんと共に販売に行きます。

利用者さんは、土作りや種まきから草取り、収穫までの一連の農作業、収穫した農作物を使った食品加工、出荷、販売など、多様な仕事に携わることができます。「いろいろな仕事を覚えてできるのが楽しい」「気持ちが落ち着く」「自分たちで作った野菜が、お客さまの手元に届いたり、買ってもらえるのがうれしい」と楽しそう。スタッフの新原諒さんは、「長く通っている利用者さんは、新しく来られた方に仕事を教えたり、『少し、あっちで休んどき』と気遣うこともできます」と話してくれました。

農園で収穫したホウレンソウ収穫したホウレンソウは、計量して袋詰め

牧場のスタートで、一歩前進

昨年「るり渓やぎ農園」の牧場部門が、旧ファミリー牧場跡地という広大な場所にヤギ舎とチーズ工房を移転。「しぜん塾やぎ農園」との連携をより深めていく形で、「るり渓高原やぎ牧場」として新たなスタートを切りました。春にはそのお披露目会を開催。スタッフと利用者が力を合わせて準備し、新鮮な野菜やヤギ乳製品、それらを使ったスイーツや食事を来場者に楽しんでもらいました。また、子ヤギの見学やヤギの搾乳体験、「しぜん塾やぎ農園」の活動報告を行い、理解を深めてもらったそうです。

「今まで作付けは『るり渓やぎ農園』の農場でやっていましたが、これからは自前の土地を使って始めようとしているところ。加工用のトマト、ジャガイモ、ニワトリの飼料米を植える予定です。今春からはニワトリの卵を事業所に卸し、きれいに磨いてパック詰めをします。将来的には、餌も自分たちで作り、卵の利益を上げていきたいと計画中です」と新原さん。これまで「るり渓やぎ農園」の仕事をお手伝いしながら農業を学ぶことを続けてきましたが、一歩前進です。

事業所内の厨房でカット野菜にカットした野菜は、法人内の施設の食材として利用

地域とのつながりを深め、夢は広がる

株式会社アットホームは、看護や介護という人との関わり合いを通じて、すべての人の暮らしやすい地域作りを、有限会社るり渓やぎ農園は、農業という実践を通じて、循環型の暮らしを目指しています。

昨年開所した「るり渓高原やぎ牧場」では、ヤギとニワトリを飼育し、ミルクや卵を加工して販売してきました。「これからは、「しぜん塾やぎ農園」との連携を深め、いろいろな方に来て楽しんでいただける場所にしていくのが目標です。今、ブルーベリーを植える計画を立てていて、その苗を育てていこうとしています。牧場にはヤギは30頭、ニワトリが100羽、ポニーを預かることもあります。あと、屋久島犬も。鹿除けを期待していたのに、何度か脱走しています(笑)。牧場まで行って作業をしたいけれど、時間的な問題もあり、なかなかできません。これからは地域とのつながりを深めていきたいので、収穫祭などに集まっていただきヤギと触れ合うなど、定期的なイベントの企画を進めています」。将来は、収穫した野菜やヤギ乳製品を使ったレストランが開けたら…とスタッフで話し合っているそうです。豊かな自然の下、共に働き共に暮らす生き方を学ぶ「しぜん塾やぎ農園」。夢は大きく広がっています。

施設案内

就労継続支援B型事業所 しぜん塾やぎ農園
〒622-0012 京都府南丹市園部町内林町上ヲサ8-1
TEL:0771-86-8261/FAX:0771-86-8262
URL:http://www.athomeweb.net